フレットの調整 シタールのフレットは、真鍮製で、棹の後ろで、細い紐、あるいは、テグスを使い縛って留めてあるだけの構造になっています。 参照 見方によっては、不安定な固定方法を敢えてとっているのには、幾つかの理由が考えられます。 1. インドの古典音楽の特徴のひとつで、微分音(半音よりさらに細かい音程)を使えるように。 2. 演奏中、駒(ジャワリ)の面が磨耗することによって、微妙に絶対的な弦長が変わる(すなわち弦が長くなるので音程は下がる)ことに対処するため。 3. 棹が柔構造であるため、やはり演奏中に、ごく微妙な棹の変化により音程が変わることに対処するため。 演奏する側の立場からみると、固定したフレットですと、演奏するときそれが「ずれ」るということについて気にしなくていい、という長所がありますが、微妙なニュアンスを表現していくことについては、可動式のフレットのほうが勝っています。 さて、実際に、シタールのフレットを調整するには、 ● 上に述べたような理由で、フレットの正確な音程を、メンテナンスの段階で、出来るだけ正確にあわせておく。 ● 留めてある紐も消耗するものなので、必ず、その状態を確認する。 ● フレット自体金属製のものなので、さび、汚れ等を落とす。 ● 弦も金属なので、フレットは磨耗してくる。金属磨き等で滑らかにする。場合によっては、サンドペーパーなどを使い、形を再生させる。 やはり、「メンテナンスとは」で述べたような考えで、充分注意を払って作業を行えば、シタールのフレットの調整はそれほど大変ではないものです。 |
01/08/14更新