1999年1月29日 19:00〜 SWARAJ 核がなくとも生きていける世界に プログラム 一部 シタールによる 古典曲 二部 シタール伴奏による朗読 ギターソロ シタールとギターによる合奏曲 出演 シタール 辰野基康 朗読 山本和子 ギター 高木潤一 タンプーラ 金井美佳 |
本日は、御来場いただきまして、ありがとうございます。 南アジアの文化に多少なりとも関わっている者として、昨年五月のインド・パキスタン両国の核実験の報道に際し、ただ戸惑うばかりでした。 以前、広島へ演奏にいったとき寄った原爆ドームの前で、手を合わせたことを思い返しました。また、来日されたシタール演奏家の Manilal Nag さんの暖かい励ましを受けたこともあり、音楽を通して、自分で出来ることを、自分なりにしようと考えたのです。 しかし、こういった企画のあらゆることに不慣れで、手際の悪いことばかり繰り返し、試行錯誤の数ヶ月でした。 シタールという楽器を通して、それまで自分には程遠い、異文化としか考えなかった音楽と出会いました。その後拙いながらも自分なりの演奏活動を通じ、色々な音楽や人達に出会ってきました。そのなかで、自然の中での弱者である人間として自他ともに慈しみあい、同時にひとつの生命として強く生きていくという感性が、どんな時代にも、どんな所にもあり、民族や宗教や国家の枠を越えて共感できるものだということを、漠然と感じています。 一方で「核」が象徴するものとして、人間の力だけで地球上全ての、いのちあるものの生存を支配する考えや、あるいは権力や経済力、また直接的な暴力によって他者を服従させる発想の一端を感じることがあります。それは、私が出会った感性とは正反対のようです。けれども誰しもが、それに多少なりとも関わらなければ暮らしていけない現実の姿を思うこともあります。 ささやかな会であっても、一市民の素朴なこんな思いから場が作れるということは、とてもありがたいことです。 こうした、たくさんの小さな小さな出会いの場が、次の世代に伝える無形の財産を育てていく契機になることを願わずにはいられません。 会場に展示した、Sukhvinder Sing さんの版画作品は、御厚意によりお借りしたものです。 また、お忙しい中、共演を快く引き受けて下さった、山本和子さん、高木潤一さん、金井美佳さん、また、たくさんの御助言と御協力をして下さったスペースオルタの佐藤真起さん、韓興鉄さん、はじめ、多くの方々のあたたかい御理解と御協力をいただきました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。 |
シタール 辰野基康 1957年生まれ。'78年シタールに出会い、小泉文夫の著書に啓発され'79年から数度に渡って渡印。故パンディット・バララム・パタックに師事。帰国後、日劇ミュージックホールの切符切り、輸入雑貨販売員、プログラマー等をしながら、ライブハウス、公民館、レストラン、寺院、ストリート、祭りなどでの演奏をきっかけに、演奏家として、既成の枠にとらわれない、草分け的活動を始める。また、演奏活動の傍ら、'94年より'98年まで版画工房STUDIO
UDONGEにて刷師助手を勤めることでArtにおける職人仕事にも接する。 朗読 山本和子 シャンソン・カンツオーネ・ピアノ・マリンバ・シタール等の演奏家とのジョイント・コンサートに出演し、様々な詩、物語、童話を朗読する。また、表現朗読講師として、川崎、文京、八王子、横浜、相模原で会を主催。また、音訳講師としても東京YWCA、横浜YWCA、朝日カルチャーセンター、新宿、武蔵野、各図書館で指導しており、30年近い実績がある。音訳ボランティアとしては1959年から活動、その業績により、1977年には神奈川知事賞、1995年には厚生大臣賞を受賞している。 ギター 高木潤一 17才よりプロとして、クラブ・ライブハウスなどで活躍する。86年渡米。名ピアニスト、バリー・ハリスに師事する傍らロン・カーター、マル・ウォルドロン等とのセッションを重ねる。 タンプーラ 金井美佳 1993年、シタールと初めて出会い、その音色に魅かれる。1996年よりシタールを学び始め、797年〜798年にかけて渡印。現在タンプーラの伴奏の活動に意欲的に取り組んでいる。 |
スペース・オルタ |